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まなざしかいご

2013.02.03 15:04|あすかの小部屋
ひさしぶりにあすかの小部屋のコーナーです。


今回は、認知症のお母様の介護をしておられる詩人の藤川幸之助さんの本「まなざしかいご」から
一部抜粋してお話を進めていきたいと思います。



母が認知症になって二十年の間、母と言葉を通じて意思疎通をしたことがない。言葉もない、意味ある動きもない

中で、母と生きてきた。言葉なしで、母に情報を伝えようと思えば、その母の手をしっかり握るしかない。

私は、いつも母の側にいるときは母をを見つめ、母の手を握る。

毎日そうしているうちに、母は「分からない」けれど、「感じる」ことができていると思うようになった。


(中略)


人は言葉や意味に頼りすぎて、この「感じる」ことを忘れているのかと思うのだ。

言葉で自分の思いを伝える仕事をしながら、これはいかがなものかと思うが、言葉なんかなくても、人は深くつな

がることができると、認知症の母に寄り添って思うようになった。


(中略)


「お母さん、お母さん」と言いながら、父はいつも微笑みながら母を見つめていた。母は嬉しそうな顔をして父に

微笑みを返していた。父に愛され、受け容れられていると母は感じていたに違いない。

自分が受け容れられているという安堵感、全てを忘れ去ってしまう中でも自分が支えられているという安堵感を

母は父の微笑みの中に感じていたと思う。

何もかも忘れ、なかなか世界をそのまま認知できなくなり、この世界やまわりの人たちからの疎外感や自分がどう

なってしまうのだろうという不安の中で生きる母にとっては、父の微笑みが唯一の救いだったと思う。


(中略)


人は幸せだから微笑むのではなく、微笑むから幸せが生まれるのだと思うようになった。


(中略)


父は気づいていたに違いない。幸せを求め続け、自分の心以外のどこにも幸せはみつからず、幸せは自分の心に生

み出し、微笑みとともに与えるのだと気づいていたに違いない。だから、「お母さん、お母さん」と言いながら、

父はいつも優しい笑顔で母を見つめていたんだと思うのだ。

母が認知症になって母に寄り添う父はとても幸せそうだった。


(中略)


父を見ながら、よくこんな状況で母に微笑みかけられるなあと思っていた。私がそう易々と幸せを手にできないの

にはわけがあるのを、私は知っている。それはまだ父の強さを持っていないからだ。自らは心臓病を抱え、どんな

過酷な状況でも母を介護し、母に微笑みかけた父の強さが、私にはまだないのだ。




藤川さんが、お父様が亡くなって、お母様の介護をするようになって、書かれた本です。



私もパーキンソンの母を介護した経験がありますが、一見美談のようなお話かもしれませんが、現在介護を必要な方を抱えているご家族の指針になるようなエッセンスがちりばめられているので引用しました。



私の母の晩年はパーキンソンの薬の副作用で、妄想と幻覚の中にいました。病にのまれ正常な意思疎通がままならなくなった母と向かい合うとき、母の部屋に入るときは頭のスイッチを切り替えることが必要でした。
どんなときでも母と顔を合わせるときは最初はかならず「笑顔」。すると母もかならず笑顔で返してくれました。

そして母の笑顔をみると安心して「来たよ、お母さん元気にしとったね?」と話をつなげることができるのです。
そのはなしがハチャメチャでも、母の「笑顔」を見るとどうでもよくなるのです。

介護は、その「やさしいまなざし」から始まると振り返っても実感するのです。

介護職についていらっしゃる方にお願いをするとすれば、利用者の元気だったころの生きざまを簡単でいいから
聞いて確実に接遇につなげるということでしょうか。



介護職の方にとっては「利用者」でも、家族にとっては病人でも「妻、夫」、「お母さん、お父さん」・・であることには変わりないからです。

そしてかけがえのない大切な家族をみな、断腸の思いで病院や施設にお願いしている


このことを忘れないでいただきたいと思います。



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1968年六月生まれ
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